Book: 2009年12月アーカイブ

第三セクターになって21年、少子化と車社会化の進行に苦しむ山形鉄道・フラワー長井線は何と公募で社長を選んだ。社長に選ばれた野村氏が自身の半生記と現在の展望を記した。

面白くてあっという間に読んだ。自慢話より失敗談、人生哲学よりとにかく実践である。部活をさぼって鉄道専門店に通った中学時代、なかなかなじめなかった読売旅行山形支店、奥さんと大喧嘩になった退職。しかし順風満帆でなかったがゆえに、自身の作品を車に載せた「移動美術館」を始め、街おこしイベントで長井線と出会う。

しかし読売旅行山形支店時代には駄じゃれ・駄菓子屋・駄目所長の3つの「駄」で年商を5年間で3倍弱に延ばし、長井線の観光客は年間365名から1万7千名に。その秘訣は1日2時間の読書と、奇抜なアイデアと実行力、そして細やかな気配りにある。

山形鉄道の社長になってからも、「車内会議」「ロボット駅長」「つり革オーナー」「車内誕生パーティー」「日本一長い硬券で地域貢献」など、矢継ぎ早にアイデアを打ち出している。またそれだけでなく、週に2回は長井線で通勤したり、社員全員と個人面談するなどコミュニケーションを密に取り、地元の高校生に存続を訴える。観光鉄道化は、結局のところ市民の足を守るための手段だという。

国でも家計でもそうだが、赤字解消の特効薬などない。1つ1つは焼け石に水のようなことでも積み重ねていくしかない。しかしその1つ1つが苦しみだったらとてももつまい。自分自身が楽しみながら、いろいろな人を巻き込み、街の活性化もして長井線を守っていく、その活力に大いに刺激を受けた。

私も沿線住民として、なるべく多く乗るだけでなく、何かコラボしてみたい気になった。車内坐禅とか、車内ボードゲーム大会とか?

あと、長井線関連記事の切抜きが全部収録してあって重宝する。表紙の写真の目が半開きなのは狙っているのか分からないが、社長の性格がよく伝わってくるような気がした。

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