Book: 2011年3月アーカイブ

部屋に皇室カレンダーの切り抜きを貼ったり、オリジナル皇室メンバーを考えたりしている8歳の長女が、本屋に行くたび立ち読みしていたのに根負けして購入。

右翼の本かと思いきや、「皇室はこうあるべき」といってバッシングに走る人たちも批判したり、かと思えば天皇の言葉に反してでも伝統を守ろうとしたり、思考停止に陥らずに論を進めており、毎日1章ずつ、ついに最後まで読んだ。漫画だが、字が多いので読むのに時間がかかる。

一貫した主張は「天皇は権力をもたない祭祀王である。」古来より神聖にして犯すべからざる存在だったがゆえに、いつの世も権力者の傘になってきたが、実際に天皇自身が権力をもつことはなかった。しかしいつの世も、日本国民の幸せを祈り続けてきた稀有な存在である。

曹洞宗の両祖は「承陽大師」と「常済大師」という大師号があるが、いずれも生前に贈られたものではなく、死後600年も経って明治天皇から贈られたものである。これに対して「祖師は名利を求める方ではなかった」という意見から返上しようという動きがある。また、かつてはどのお寺でも今上天皇の位牌が祀られ、朝のお勤めでは天皇の寿命がのびるようにと祈祷されていたが、現在ではこの祈祷文が削除されている。いずれも戦争に加担した反省から、天皇中心の国家観および世界観を見直すということららしい。

しかし、天皇が権力をもたない祭祀王であったとすれば、この理屈は成り立たなくなる。むしろ国土安穏、万邦和楽、檀信徒の福寿長久、海衆安祥など、お寺で毎朝祈っていることは、天皇の祈りと相通ずるのではないか。問題は「皇恩に報い奉らん」といって戦争に檀信徒を送り込んだ僧侶や、当時の政府・教育者であって、天皇に責任転嫁しても反省したことにはならない。

私自身、皇室は「触らぬ神に祟りなし」でずっと無関心だった。この本を読んだだけで崇拝する気にはなれないが、今上天皇が世界の平和の祈りを捧げる姿に、宗教者として深い尊敬の念を覚える。天皇について、右だの左だの面倒なことをいわずに話ができるといいのだが。

長女はこの本を読んでから、よく皇室クイズをしてくるようになった。この本を読み終わっても相変わらず全問不正解である。

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