Buddhism: 2007年6月アーカイブ

法話に泣く

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今日は朝から近くのお寺さんで新潟からいらした布教師の法話を聞く。般若心経を読み、坐禅をしてから90分の法話。

話題は仏壇のお参りの仕方、徳を積むこと、無常に生きる我々、感謝など。説教臭くなく、たとえ話や実例を交えての分かりやすい法話だった。話し方も「えー」や「あー」などがほとんど入らず、さすがプロ。

岩手であったというお話を聴く。

母子家庭の母親が、小学生の娘を残して交通事故で亡くなった。身寄りはほかになく、福祉施設もいっぱいだったため、母親のお葬式で導師をした住職さんがしばらく預かることに。いっこうに心を開かないその子、口を開けば「お母さんは今どこにいるの?」と訊くばかり。
そんなある日、法事で「亡くなった方は、仏壇の中で安らいでおりますよ」という法話をしたところ、その子が陰で聞いていたらしい。お菓子が皿ごとなくなっていたので、おばあさんがその子の部屋に見に行ってびっくり。すぐに呼ばれた住職さんも部屋に入ってびっくり。
部屋の奥にお皿のお菓子。その奥にはダンボール箱が縦に置いてあり、蓋を広げて仏壇のようになっていた。箱の中にはたどたどしい字で「おかあさん」と書かれた紙が貼ってあった……。

ちょっと前、朝日新聞に載っていた母を亡くした子どもを育てる父親の話でもそうだったが、こういう話はもうダメ。途中からうつむいて我慢していたが、とうとう涙が溢れ出してしまった。涙を流したのは何年ぶりだろう。

釈尊は「愛情から憂いが生じ、愛情から恐れが生ずる。愛情を離れたならば憂いが存在しない。」と仰った(『法句経』)。しかしたとえ煩悩だとは分かっていても、私は当分の間、愛情というものを捨て去ることはできなさそうだ。

終わってからは気を取り直して美味しい蕎麦とわらび汁を頂く。心身ともにリフレッシュする半日だった。

写真はパソコンを移動した小屋の2階からの眺め。風もよく通り、見晴らしがよくて気持ちいい。
外の眺め

般若心経の読解

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昨日はつくばから長女を連れて山形へ。夕方からはご寺院さんの集まりで講演。「般若心経の読解」ということでお話をさせて頂いた。

最近は鉛筆で書くシリーズとかニンテンドーDSとかで般若心経がちょっとしたブームになっているようだ。たくさんの解説本が出版され、仏教の多くの宗派で日常的に読まれている般若心経。でもその意味はあまり考えられていないように感じる。

そもそも題名の「般若波羅蜜」も、最後の真言「ギャーテーギャーテー〜」も敢えて訳さず音写しただけだし、解説本には「意味など考えず読むのがよい」というのもある。頭を空っぽにして読めば、お経を体現したことになるんだとか。

でもそれが原作者のインド人の意図だったのか? また意味もないものをどうして三蔵法師が中国に持ち帰ったりするだろうか? お経である以上、そこには何らかのメッセージが込められているのであり、メッセージを読み取る努力を放棄するのは怠慢だろう。

トピックはおおむね以下の通り。
・お題が後に来るインドの書き方
・なぜ釈尊ではなく観自在菩薩が説くのか
・インドのお寺で般若心経を読んだ後、信者から「サードゥ、サードゥ」と言われた話
・なぜやたら舎利子を呼びかけるのか
・原文にない「度一切苦厄」を挿入し、原文にある「無明知、無明知尽」を削除した玄奘
・「不増不減」は「不減不増」がもとの語順
・「色即是空」はいいが「空即是色」は論理的におかしいのではないか(逆は真ならず)
・「真実不虚故」を「真実である。間違いがないから」と訳す理由(多くの解説書は「真実であり、間違いがない。ゆえに」と誤訳している)

一番の問題である空とは何か、般若波羅蜜とは何かは時間の都合で省略(実際、私の手に負えない)。

はじめにサンスクリット語の原典を音読。後日録音したので興味のある方はどうぞ。
サンスクリット原典 般若心経

時間も短いし楽勝かと思っていたが、聴衆はいつも私が指導いただいている先輩・大先輩の御住職さまたちでかなり緊張した。しかも終わってからの懇親会はいきなりカミ座に座らされ、皆がウーロン茶を注ぎにやっていらっしゃる。食事がほとんど喉を通らなかったのは言うまでもない。

幸いだったのは「楽しかった」という御講評を頂戴したこと。般若心経はここがおかしいとか、お釈迦様がこんな大事なときになんで瞑想しているのとか、ぶっちゃけすぎて法話としては失格だったのが新鮮だったのだろうか?

こんな不勉強の私に貴重な機会を与えてくださった諸先輩方に感謝。

この間、長女は母と寺族会に出席していた。幸いずっと本を読んだりお絵かきしたりして大人しかったので、皆にほめられたという。よかったよかった。

懇親会が終わって帰宅。長女とお風呂に入って疲れを癒し、山形にしては早い時間に就寝した。

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