Diary: 2001年5月アーカイブ

バスのあいさつ

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心が非常に和むもののひとつにバスの運転手さんのあいさつがある。
すれ違うほんの少しの瞬間ににさりげなくさっと手をあげる。相手も手をあげている。ずっと以前からどのバス会社でも見られる光景だ。電車などではすれ違う時間が短いからか、手をあげることはないようだし、タクシーもさまざまな会社がいろいろなところをたくさん走っているからかあいさつすることはまずない。今ではマイカー社会で路線・本数も少なくなり、厳しい経営を余儀なくされているバス会社だけの伝統なのだ。
運転手さんはたいてい無表情であるし、手のあげ方もぞんざいであることが多いので、いつの間にか染み付いて離れない慣習程度のことだろうと、ついこの間まで私はそう思っていた。ところがあるきっかけでこれを考え改めることになった。
高速バスに乗っていたときのことだ。バスは首都高のうねうねしたラビリンスをこともなげに快速で進んでいく。首都高を出てからは片道3車線の真中を走っていることが多かった。
すばらしい運転技術だと思ってみていると、運転手さんはなんと首都高でも対抗車線を走っているバスに手をあげているではないか!バスは曲がりくねった道から突然現れる。現れた瞬間に手をあげなければもうすれ違い終わっているという状況。しかも同じ会社の路線バス以外には手をあげない。瞬時の判断と反射神経のよさに驚嘆した。
さらに3車線になって対抗車線が遠くなってからも遠くを走っている同じ会社のバスに手をあげることを怠らなかった。色が似ていても観光バスだったりすれば手をあげていない。視力のよさも必要であった。
自分だったら、相手を探すのに必死になったら運転がおろそかになり、事故を起こしかねないだろうなと思ったそのとき、バス運転手さんのあいさつの意味をちょっとわかったような気がした。
「俺は、相手にあいさつできるくらい完璧な運転技術と余裕があるんだ!」ということを誇示したいのではないか。相手が後から手をあげれば「ふっ俺のほうが早かったぜ」とうれしいのではないか。
高速であいさつをする難易度は、技術を誇示していると思わせるに十分な高さであった。職人芸である。

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