India: 2012年12月アーカイブ

近所に「ペット美容室ぶるーむ&Nilgiri雑貨店」というのがあるのだが、その前を通るたびに禅宗でよく読まれる『大悲心陀羅尼』を連想する。なぜか。

「ニルギリ(Nilgiri/नीलगिरि/நீலகிரி)」というのはインド南部、タミルナードゥ州で取れる紅茶の銘柄だが、翻訳すれば「青い山」という意味。ヒンディー語で「ニール・ギリ」、サンスクリット語では「ニーラ・ギリ」と読む。

大悲心陀羅尼の原題は「ニーラカンタ・ダーラニー(नीलकण्ठधारणी)」で、意味は「青頸(観音)陀羅尼」である。ここでも「ニーラ(青)」が用いられている。ニルギリから大悲心陀羅尼を連想するのは、そのためである。

「ニーラカンタ」はもともとシヴァ神の異名。それが仏教において観音菩薩にあてがわれたのは興味深い。観音信仰は、普く光を降り注ぐ太陽神ヴィシュヌだけでなく、破壊と創造の神シヴァ神にも由来しているのだ。

乳海攪拌の折にマンダラ山を回す綱となった大蛇ヴァースキが、苦しむあまり猛毒(ハラーハラ)を吐き出して世界が滅びかかったため、シヴァ神が毒を飲み干し、その際に喉が青くなったため、ニーラカンタ(青い喉)(Nīlakaṇtha)とも呼ばれる。(Wikipedia)

「ニーラカンタ」という言葉は陀羅尼の中にも出てきて、漢訳では「那囉謹墀(のらきんじー)」となっている。この文句のところで鐘を鳴らすのも、重要な言葉だからだろう。

それにしても「ニル」と「ノラ」が同じ言葉とは、訛りすぎもいいところである。意味を知らずに陀羅尼を読むのは密教だから問題ない(知らない方がいい?)。しかし漢訳して音読したときに発音が全く変わってしまっているのは大丈夫なのだろうか。

観世音言う、もし善男子前女人、この神呪を誦持する者は、広大なる菩提心を発し、誓って一切衆生を度し、身に斎戒を持し、もろもろの衆生において、平等心を起こさん。(千手経)

以下に大悲心陀羅尼の原文を掲載する。現在禅宗で読まれているものと比較しながら読むとその違いっぷりがすごい。意味も、「ライオン顔」「虎皮の服」など観音様のイメージとかけ離れた内容で、神呪のまま訳さなかった理由が分かるような気がする。

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