停電と断水

 3月に40度を超えたのは異常気象のためで何十年ぶりだという。その後しばらく暑さが和らいでいたが、今週になって再び盛り返してきた。夏本番である。
 昨晩午後9時ごろだっただろうか、夕食を食べているとき停電に見舞われた。窓から見渡す限り、どの家も電灯がついておらず、ロウソクがほのかに点っている。外では自家発電機をもっているお店がわずかに明るいだけだった。
 夜に飛行機でプネーからデリーに向かうとき、1エリア全部の電気が消えたのを見たことがある。一緒に乗っていた円実さんは「あ、街が消えた」と言っていた。今、私の住んでいる街が消えたのだ。
 石窟寺院を見るために小島さんに勧められて買った懐中電灯が役に立つ。フックにかけてぶら下げながら、懐中電灯の下で夕食を続行。それからインターネット。ノートパソコンはバッテリーがあるのでこういうときに便利だ。
 それでも暗い中では目も疲れてくる。11時になっても停電が回復しないので、寝ることにした。夕食の容器を洗おうとすると、今度は断水。停電と断水のどちらかというのはよくあるが、どちらもというのは珍しい。わずかの水で歯を磨いて床に就く。
 日本の場合、停電も断水もめったになく、しかも前もって通知されるがインドでは何もかも突然の上、頻度も多い。新聞かテレビで計画停電・計画断水(電力・水不足のため定時にストップする)のお知らせが流されることがあるが、計画にないものも多いという。
 床に就いて1時間、蚊取りリキッドがないので蚊に襲われまくる。蚊の羽音が耳障りなのと、刺されたところがかゆいのとで眠れない。日本から持ってきた蚊取り線香を焚こうとしたが、……マッチがなかった。しばらく考えた末、虫除けスプレーを体中に塗ることでようやく眠ることができた。
 この時点で温度は34度。湿度は低いものの天井のファンも動かないので汗だくになる。もっとも、肌寒いのに比べれば私は少し汗ばむぐらいの暑さが好きなので、朝までぐっすりお休み。
 普段から電気も水道もないとなりのスラム街だけ、何事もなかったように過ごしていた。

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