床屋

1ヶ月半ぶりに散髪。ひげそり・洗髪なしで45円。日本ではカミソリで剃髪しているので2ヶ月ぐらい伸ばしてもイガグリ頭になるぐらいなのだが、頭皮が空気に触れていないと何となく調子が悪い。亡き祖父も髪が伸びると風邪を引くという奇妙なことを言っていた。
インドでは床屋に困ることはない。前に住んでいたアウンドにも近いところに2件あったし、今住んでいる界隈にも2,3件見つけた。去年ビハール州に行ったときは道端のほったて小屋で営んでいるところもあったし、屋外で電柱に鏡をくくりつけ、その前に椅子をおいて営業しているところもあった。
衛生面ではそれほど心配することはない。カミソリは毎回使い切りで新しいものを出してくる。K氏はインドの床屋でワキ毛を剃っているシーンを見てからしばらく行けなかったらしいが、どこを剃ろうがカミソリを新しくしてくれるならば気にしない。
少しイヤなこともある。以前アウンドにいたころ、終わってから首をぐきっとされたことがある。整体のサービスだろうが、何の前触れもなくいきなりされたので、首の骨が折られたかと思った。それから日本でも言えることだが、下手な床屋にあたるとカミソリの傷が至るところに残る。
いつも言う言葉はひとつ。「短く」。すでに入った時点で短いのだが、それをさらに短くするのは意外に難しい。長さが揃わないのである。1人にかける時間はせいぜい15分。切り方はインド人らしく、実にいい加減だ。目をつむっているといい加減度が増すので、近視でも鏡をにらんで監視する。
店によってはバリカンを使うところもあるが、満足できる結果になったことはない。家に帰って鏡を見ると、妙に長い髪がつんつんと残っている。今日は終わってからメガネをかけて鏡を見ると、長い髪が残っている上に右と左の長さが違う。そこでこっちを切れ、あっちを切れと言ってみた。不服そうに切り始める店員。タオルを取っているので服の上に髪がぱらぱら落ちる。しかしなかなかよくならない。そのうち店員はもう勘弁してくれと言わんばかりに床掃除を始めてしまった。
腕については望むべくもないが、それを補って余りある安さなので、日本に帰る前には必ず床屋に行くようになった。雨季が終わって気温が再び上がるこの10月、帰国まではまだあるが髪を切ってさわやかだ。

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