Phir Bhi Dil Hai Hindustani(それでも心はインド人)

2000年。アジャイ・バクシ(シャールク・カーン)は「Kテレビ」超有名テレビリポーター。彼の活躍で視聴率を逆転されたライバル会社「チャンネル・ギャラクシー」は新しい美人ジャーナリスト、リア・バネルジー(ジュヒー・チャーウラ)を雇う。アジャイは彼女を一目で好きになるが、2人はライバルとして特ダネを出し抜こうとしていた。
そんなさ中、大衆に支持され、政治を動かす実力者が演説会で射殺される。殺した男モハン・ジョシはすぐ逮捕されたが、選挙を前にして争う姿勢を見せていた州首相と対立陣営はこれを選挙材料にしようと目論み、暴動を起こさせたり、お互いに相手が送り込んだ刺客に仕立てようとした。しかしモハン・ジョシは刺客でもテロリストでもなく、その実力者にひそかに娘を殺された一般市民だった。警察も政府も動いてくれなかったため、自分自身で報復を果たしたのである。
この事実をもみけしてモハン・ジョシをテロリストとして処刑しようとする政治家に、アジャイとリアは手を組んで立ち上がる。政治家は2人に警察権力で捕らえようとする。2人は警察の追っ手を逃れてモハン・ジョシを助けることができるか?
国を乱すテロリストとして公開処刑されることが決まると市民は政治家を支持し、アジャイが「みんなと同じインド人が今殺されようとしている」と訴えるとデモを始めるインド人の愛国心がこの映画のテーマになっている。インド国旗を振りながら行進するアジャイに、銃をおろした警察官が「3色の旗は撃てない!」というくだり、日の丸ではありえないすごさを感じる。
愛国心というとすぐに戦争反対の立場から否定的になるのが日本人だが、インドでは故郷を愛するということであり、隣人を愛するということであり、家族を愛するということである。つまりそれは戦争反対の立場と両立するどころか、異なるものですらない。日本人がすでに失ったもの、そしてインド人も経済発展の波で失いつつあるもの。日の丸と君が代には何か歴史的な物悲しさを感じてしまうが、それとは関係なしに私も自分の国を好きでいたい。(そんなことを思うようになったのは、インドに来てからである)
シャルク・カーンはひょうきんなキャラクターで板についていた。ヒロインのジュヒー・チョウラは初めて見たが、カージョールとアイシュワリヤ・ライのいいところを集めてきたようななかなか素敵な女優だと思う。モハン・ジョシにはパレーシュ・ラワル。コメディアンだと思っていたが、シリアスな役もすばらしいことが分かった。あまり役に立たないマフィアのお坊ちゃん、ドンにジョニー・リーヴァル。インド映画はコメディアンの層も厚い。
序盤で笑わせ、中盤で泣かせ、終盤で爽快にさせるお得感満載のいい映画だった。音楽はDDLJ、KKHH、Mohabbatein、K3Gのジャティン・ラリットで最高。KKHHの曲をそのまま使っていたところもある。

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