お金を借りる

昨日やっと庫裏(自宅)の建築資金を借りる算段がついた。
前の日記(http://www.tgiw.info/weblog/2007/03/post_331.html)で書いたように、庫裏の建築費用の9割を小野家で、残り1割を檀家さんで負担することにしている。
自己資金(といっても妻の貯蓄)を除くと不足額が約3500万円。住宅ローンで30年くらいというのが当初案である。2つの地方銀行に行って、条件のいいほうにするつもりだった。
申し込んでから2週間後、両行とも返事は「住宅ローンは不可」。ガビーン。曰く、住宅ローンは建物と敷地を担保にするのだが、今回の場合は自宅とはいえ境内地に建っている建物なので、敷地はもちろんのこと建物も担保が取れないとのこと。
銀行の人は「そんなところを抵当に入れたらバチがあたります」と言っていたが、実際本堂とつながった建物が抵当に入っても買い手がつかないだろう。「じゃあ、お寺の前の土地を買って、そこに建物を建てたら住宅ローンが組めるんですか?」「はい、組めます」……でもそれは無理だなぁ。
というわけで住宅ローンの線は明らめて、次は設備資金ということで申し込むことにする。設備資金とは、企業が新たな事業をするにあたって借りるというパターン。担保はないが、お寺はつぶれないという信用取引でかけあった。申込先も、少し資金力のある銀行に。
予め工務店さんが話をしてくれて感触がよいということで期待していたが、2週間待って結果はまた不可。ドガーン。曰く、担保なしにそれだけ長い返済期間を設定するのは前例がないとのこと。
多くのお寺では檀家さんが大部分を負担するため、3〜5年ほどで返済する。しかしそれは檀家さん一戸当たり20万円くらいの負担を意味することになる。今の時代、そんなことをしたら確実にお寺離れを助長するだろう。
行き詰まったかに見えたとき、不思議と光明がさしてくるのがお寺だ。総代さんと、となりの和尚さんが信用金庫に当たってみることを勧めてくれた。そこで返済期間は20年に短縮。月20万円ほどの返済は布施収入から捻出し、不足する住職と家族の生活費は外で働く妻が出すということで申し込んだ。
わずか4日で返事が来て、総代と妻が連帯保証人になることを条件にOKが出た。ヤッター!
三度目の正直、勝因は何だったのか。ひとつはまず妻の収入だろう。いくら東北ではまだお寺の権威が残っているからといって、田舎の小さいお寺の収入でこれほど借りるのは無理だ。
もうひとつは信用金庫の性格。地方の中小企業を専門に取引している信用金庫に、地方の小寺院であるうちがマッチしたようだ。初めて知ったことだが、信用金庫には総代と呼ばれる地区役員がおり、その中にはよく知った和尚さんの名前もあった。
しかし何よりも大きかったのはコネだと思う。総代さんととなりの和尚さんは、信用金庫の支店長とずいぶん昔からのお付き合いらしい。お二人が電話してくれておいたお陰で、最初から支店長と直にお話しすることができた。コネというとネガティブに聞こえるが、要するに信用である。
昨日は信用金庫から連絡を受けてすぐ、嬉しくてお礼の電話を総代さんと和尚さんへ。そしてこの間辛抱強く付き合ってくれた工務店さんにも。出会う人に恵まれる幸せをかみしめた。
そんなわけで予定の工期から遅れること2ヶ月。ようやく始める目途がついた。あとは雪が降る前に完成してくれることと、これから20年間みんな健康で無事完済できることを祈るばかりだ。

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