前頭前野とかよりも

子どもが通っている小学校の保健だよりに、「東北大学教授・医学博士川島隆太先生によると、テレビやゲームをしているときは、前頭前野をあまり使っていないことが分かりました。テレビやゲームを遊ぶ時間が長いと、前頭前野がなまけてよく働かなくなるかもしれないので注意しましょう」と書いてあった。ゲームをやり過ぎて、ちょっとしたことですぐ怒る・キレる、勉強や読書に集中できない、インターネットやメールなどで人が傷つく言葉を書くことがある・または書いてもなんとも思わない、やる気がなくぼーっとしていることが多い、物忘れや忘れ物が多い、片付けるのが苦手で机の上や部屋が片付かないなんてことがありませんか?などと書いてある。こんなに悪者扱いしなくてよいのではないか。

川島隆太『脳を育て、夢をかなえる』を読むと、確かにゲーム中に前頭前野はほとんど働かないことが書かれているが、それは「頭を休めているのかもしれない」という。同書では、前頭前野が休んでいるケースとして、音楽を聴く、マンガを読む、ゲームをするの3つが挙げられており、決して否定的に捉えられてはいない。「まんがやゲームも、うまくつかいさえすれば、前頭前野にとって、たのもしい味方になるのです。」

「頭を休めている」から「なまけてよく働かなくなる」は拡大解釈であろう。仕事の合間に休憩しているのを見て、「あまり休んでいると怠け者になるぞ」といっているようなものである。そんなことをいわれながら休憩するのでは、休憩にならない。休むときは休み、遊ぶときは遊び、勉強するときは勉強する、メリハリが大切だと思う。

すぐ怒る、集中できない、やる気が出ない、忘れ物が多いなども、逆にきちんと頭を休めていないから起こる可能性も考えられる。だとしたら、結論は「もっとゲームなどをして頭を休めましょう、勉強はそれからしたほうが能率が上がります」ということになる。

そんなことを言いたいわけではない。私の意見は、ゲームのせいにしたところで、子どもの問題は何にも解決しないということだ。親が子どもと一緒に過ごす時間が少ないとか、子ども同士が関わりにくい環境になっているとか、子どものスケジュールが過密であるとか、そういったことに目を向けなくてはいけないだろう。いずれも大人の社会とリンクしている問題であり、大人が変わらなければ変わらないということも。

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