1998年1月アーカイブ

テーブルゲーム普及のために

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 近年,メビウスなどのおかげで次第に日本でドイツゲームが認識されつつあります.またドイツゲーム自体も国外での人気の高まりを受け,各メーカーが競って多種多様なゲームを量産するようになり,ひとつの黄金時代を迎えています.

 一方日本には伝統的にすごろく・花札・将棋・囲碁といったテーブルゲームがあり,またこの延長でオセロや人生ゲーム,マージャンがたくさんの人々の心をとらえ,コンピュータゲームの隆盛にもみ消されることなく,広く愛好者を獲得しています.

 これらの日本で受け入れられるゲームは戦略的思考と運の要素が大きく,より深く考えるか,運を手中にするかの個人差が勝負の分かれ目となります.

 ドイツのゲームにもこういった要素がありますが,それより重要になるのが「駆け引き」です.いかに上手に交渉して自分に有利な条件を引き出すかが勝負の分かれ目になります.

 この「駆け引き」,日本の最も苦手とするところ.思うに戦後の国際社会でドイツに比して日本の地位がいっこうに向上しないのはこの「駆け引き」が足りないからではないでしょうか.

 また,「いじめ」「学級崩壊」「きれる子供」なども,「駆け引き」を学ぶ機会がないために何事も個人の問題に還元してしまい,柔軟に対処できないからではないでしょうか.

 「駆け引き」はコミュニケーションの基本です.相手の出方を伺うだけでなく,積極的に相手にはたらきかけていく.その繰り返しによって相手を深く理解することができるのです.

 ドイツのゲームは子供用から幅広く用意されています.また,日本では大の大人がうんうん唸って遊んでいるゲームもほとんどは10歳以上くらいで設定されています(ハイパーロボットRasende Roboterが10歳(小学4年生!)以上というのには驚きますが).

 大人が同好会のようなものをつくって遊ぶのも結構だと思いますが,それだけでは「静かなブーム」に留まり,普及は難しいでしょう.やはり,親が子供に買ってきて,一緒に遊ぶことが大事だと思います.

 勉強は学校でやれば十分です(いい成績をとっていい大学に入っても,かえって幸せになれない.今はそういう世の中です).家ではそれよりももっと大事な,日本人にとってこれから必要なものを遊びを通して学んでいくことが,子供にとっても日本の将来にとっても大切なことではないでしょうか.

ゲームに勝つこと

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 正直なところ、私はゲームに勝つことをあまり好みません。負けた人を気にしてしまうのです。勝者があからさまに勝利を誇るのは、はしたないという気持ちもあります。負けた人には適当な慰めの言葉を丁寧にかけなければなりません。「私が勝ったのは全くの偶然で、本当はあなたが勝つはずだった」「あなたの戦い方はすばらしかった」などとあれこれ考えて言うくらいなら、いっそ敗者になってその言葉を待っているほうがずっと楽です。

 「コンピュータならいいけれど、何人か集まってゲームをやるのはちょっと気が引ける」という理由のひとつに、負けることが恥であるかのような気持ちがあるようです。ゲーム中は楽しくても、ゲームが終って勝敗が決まったとき、何となく気まずい空気が漂うことがよくあります。負けると「つまんねー!!」などと怒り出す人がいたりすると、さらに厄介です。

 しかしゲームのもつ勝敗というこの特性は、不可欠のものであるとも言えます。ゲームに参加する大きな動機は勝って喜びたいからであり、勝敗がつかないで終わるならはじめからしなくてもよかったと思うでしょう。

 ゲームをたくさんやって勝敗を多く経験すればするほど、上手に勝つこと・上手に負けることを身につけることができます。上手に勝つこととは適度に喜ぶことであり、上手に負けることとはへこたれずに次回に期するということです。

 人間は文化を捨てない限り、戦いのない世の中にはなりません。なぜなら、戦いこそが文化発祥の条件だからです。人間の愛憎とそれに基づく悲喜劇、それがいっぱい詰まった豊かな生活は、強いものと弱いものを決める戦いから生まれてきたものにほかなりません。戦争を反対する人でもオリンピックを真剣に見ているのは、戦いこそが人間の本能に根ざした自然だからです。

 そしてもうひとつ重要なことは、戦いが憂いに満ちた人生の気晴らしだということです。長い人生、たくさんの不幸が待ち構えています。そして最大の不幸は死であり、これは何人たりとも避けることができません。もちろんこの問題に真っ向から向き合うことも大切ですが、人間は太古から戦うということによってこの憂さを一時的に忘れてきました。

 現代の若者の特徴は「傷つきたくない、傷つけられたくない」ことであるとよく言われます。その一方で闘争本能を制御しきれずに弱いものをいじめたり、キレて人を殺傷したりしています。政治の世界でもなりふり構わない強者の論理が横行し、第二次大戦の悲劇を忘れた軍国主義の時代がやってくる日も遠いことではないかもしれません。

 そこで、上手に勝つこと・上手に負けることの大切さが俄然光ってきます。ドイツゲームは運と戦略と交渉力のバランスで勝敗が決まります。ただ頭がよければ勝てるわけではありません。コツコツやっていれば運が味方することもあります。また時には思いっきりやることも必要です。同じ方法でも時と場合によって勝ったり負けたりします。その中で自分のプライドをコントロールし、闘争本能を解消して気晴らしを行い、また戦いで勝つコツを身につけるという上手な戦い方を身につけることができます。

 戦争はお互いが物理的にも深く傷つきますが、ゲームではそんなことはありません。たくさんの方々に勝負を恐れず、ゲームを楽しんでもらいたいと思います。

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