テラミスティカ(Terra Mystica)

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敵を知り己を知れば百戦危うからず

ファンタジーの種族たちが、土地を開拓し、建物を建てて、勢力を競うボードゲーム。エッセン・シュピール初出展のフォイヤーラントシュピーレが昨年発売して、フェアプレイ誌のスカウトアクション2位ザウアーラントゲーム会アンケート1位と、高い評価を集めている。国内ではテンデイズゲームズがゲームマーケット秋で発売し、その後も愛好者の話題によくのぼる作品である。マンネリ化しているなどと囁かれるドイツゲームにおいて、王道の陣取りと、毎回変えられる特殊能力を組み合わせて新境地を開いている。

ゲームの特徴は、1人1人はじめから能力の異なる種族を担当するところにある。登場する種族は魔女、ドワーフ、人魚、巨人、ハーフリングなど14種族。それぞれユニークな特殊能力を持っているだけでなく、建物が建てられる地形やコストまで異なる。得意な分野を伸ばしつつ、不得意な分野をカバーしなければならない。

得点方法は多岐にわたるが、基本路線は開拓と建設である。ボード上に7種類ある地形のうち、ドワーフなら山岳、人魚なら湖というように、自分が建物を建てられるのは1種類しかない。そこで労働者コマを払ってほかの地形から変換する。建設には労働者コマとお金が必要で、はじめは家を作り、それを交易所、砦、神殿、聖域にグレードアップしていく。グレードアップすれば、収入が増えたり、恩恵タイルが手に入ったり、町ができたりする。しかもゲームの最後には、建物が多くつながっている順番でボーナスも入るからここは欠かせない。

建物を建造すると、そこに隣接しているプレイヤーに「パワー」というリソースが入るのも特徴だ。このパワー、資源やお金などさまざまなものに変換できて何かと便利だが、貯まらないと使えないポイントカードみたいなもの。貯めるにはほかのコマと混み合ったところに建物を建てておいたほうがよいが、混みあったところに建てるとその後の伸び代がなくなるというジレンマがある。

テラミスティカ
混み合うところも、空いているところも良し悪し

ラウンドの最初に収入をもらった後、8つのアクションから1つずつ行う。先に降りた人が次のラウンドのスタートプレイヤー。また、降りた人からボーナスカードを選べるので、早く降りたいが、やりたいことはいっぱいある。後半になるほど資源もお金も増え、できることが増えていくので悩ましい。全員が降りたら、ラウンドボーナスを受け取って次のラウンドへ。6ラウンドでゲーム終了となる。

ゲームボードのほかにもうひとつ、教団ボードというのがあって、火、水、土、風のトラックがある。「司祭」というリソースを使うとこのトラックを進めることができ、途中でパワーが手に入るだけでなく、ゲーム終了時には進んでいる順番にボーナスも入るので蔑ろにできない。

種族の特殊能力、収入がいくら入るか、建物のコスト、パワーの状態などは全てプレイヤーボードに図示されている。ルール説明には手間がかかるが、ゲームが始まってしまえばこれのおかげでスムーズにゲームが進む。

テラミスティカ
建物は予めプレイヤーボードに置いてあり、建てて空いたスペースだけ収入が増える仕組み

私の種族はハーフリング。土地を変換するたびに得点が入ってくるという、地味ながら強い能力だった。そこで建物のグレードアップを後回しにして、鋤の変換効率を上げ、家だけで陣地を広げていく作戦。一方、stさんの人魚は、誰も入れない河川をつないで陣地を広げられる能力で、広大な陣地ができあがった。tomokさんの遊牧民も、砦を作ってから次々と周囲の地形を砂漠にしていく。stさんの陣地ボーナスでまくられるかと思ったが、逃げ切って私の勝利。途中途中でいろいろな点数が入るなど細かい処理が多いが、実に遊び応えのあるゲームだった。

Terra Mystica
H.オスターターク、J.ドレーゲミュラー作/フォイヤーラントシュピーレ(2012年)
2~5人用/12歳以上/100分
テンデイズゲームズ:テラミスティカ

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