スルー・ジ・エイジ(Through the Ages)

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ボードゲーム史のブレイクスルー

スルー・ジ・エイジ

このところずっと気になっていたゲームだった。チェコ人ゲームデザイナー、フヴァキルの最初の作品にして名声を一気に高めた作品。国際ゲーマーズ賞の大賞に輝き、ドイツゲーム賞こそ8位止まりだったものの、先日ポーランド年間ゲーム大賞にも選ばれた。香港のウォーゲームズクラブから中国語版『歴史巨輪』も発売されている。ところが、日本ではダイス版『ロール・スルー・ジ・エイジズ』こそ日本語版になっているものの、ボードゲーム版はほとんど入ってきていないし話題にもなっていない。しかもプレイ時間が4時間とあっては、遊ぶ機会になかなかありつけないのも無理はないだろう。このゲーム一押しのぽちょむきんすたーさんにお持ち込み頂き、まる1日を費やしてようやく念願が叶う。その内容たるや、ボードゲームの歴史の金字塔といっても過言ではない、大満足のゲームだった。

ゲームは185枚の文明カードから毎手番13枚が並び、アクションポイントを使って取り、科学力を使って出し、資源を使って人を置き、多彩な効果を使って得点に結びつける。科学力も資源はいつもカツカツ、戦争や植民地でよそから奪うことで国が成り立つという仕組みだ。

画期的なことに、このゲームには地図がない。それにお金もない。ボードは各国の能力パラメータと得点表、そしてカード置き場があるだけ。自分の前に並んでいくカードが、自分の国を表す。並ぶカードが増えるにつれ、できることも増えて成長が実感できる。私は地政学的なゲームと、紙幣を使うゲームは好みではないのでこの点が大いに気に入った。

スルー・ジ・エイジ
資源(青)と人(黄)はマイボードから取り除いてカードに配置する。効率が悪くてたくさん出払うと、汚職や飢饉が起きたり、生産が滞ってしまう。

文明カードは大きく分けて、人を増やすのに必要な「農場」、カードを出すのに必要な「鉱山」、軍事力を上げる「軍隊」、歴史上の実在人物が登場する「リーダー」、アクションポイントを増やす「政府」、科学力や得点を上げる「都市」、完成すれば大きなメリットになる「奇跡」の7種類がある。3つの時代に分けられており、後になるほどすごいのが出てくるようになっていて面白い。例えば「軍隊」だと最初はローマ兵士だったものが、最後は戦車やロケットが出てくる。

戦争や植民地が出てこなければソロプレイである。バランスよくカードを選び、よく考えてカツカツの資源を振り分け、さらなる発展を目指す。しかしアクションポイントは内政と軍事が別で、軍事ポイントを使って軍隊を出し、軍事力を上げておかないといざというとき痛い目に合うことになる。

文明カードのほかに155枚ある軍事カードは、軍事ポイントを使って補充する。こちらは大きく分けて軍隊の組み合わせによって軍事力をアップさせる「戦略」、相手を指名して軍事力勝負をする「攻撃」と「戦争」、不利な状況を耐える「条約」、それから軍事力の競りで植民地を取ったり軍事力を比べたりする「イベント」の5種類。内政にばかり力を入れていると、この軍事カードで資源や人、果ては得点まで奪い取られてしまう。軍事力は使った分が減るので、一度上げたからといって安心できない。こうした軍事競争があることで、常に相手の状況を踏まえた行動が求められ、たいへんインタラクティブになっている。

スルー・ジ・エイジ
国の心臓部となる農場、鉱山、軍隊。農場と鉱山はグレードアップすると効率の良い生産ができる。軍隊は戦略カードでパワーアップ!

このように文明の発展をテーマとして、ありとあらゆる要素を詰め込んだ大作。選択肢がたくさんあるが、カードは結局ある中からしか選べないため、経験の差はあまり感じない。唯一の欠点は、時間が長くてなかなか遊ぶ機会がないということぐらいか。

今回の初プレイ。リーダー「アリストテレス」で科学力を増やし、次の時代には「ニュートン」でカードを置きまくる。政府は「神権政治」に切り替え、アクションポイントも十分でいけた。しかし農場と鉱山のグレードアップが遅れたのと、最後まで神権政治を通したのとで終盤に伸び悩む。軍事力を徹底的にさぼり、餌食にされ続けていた鴉さんの大逆転で最下位。1位はリーダー「クック船長」でものすごい得点を上げつつも、軍事力増強も怠らなかったぽちょむきんすたーさん。終わってからあれこれ振り返って楽しめるのもこのゲームのいいところだ。

カードのテキストは多くはないが、日本語であったほうが望ましい。出ないかな、日本語版。

Through the Ages: A Story of Civilization
V.フヴァキル/チェコボードゲームズ(2006年)
2-4人用/12歳以上/240分
プレイスペース広島:スルー・ジ・エイジ第3版
ゲームストアバネスト:スルー・ジ・エイジ

コメント(1)

3回ほどプレイ致しましたが、「勝てないけど大好き」なタイプのゲームでした。勝ちてえなあ。
ついつい、分不相応にも、世界の七不思議を建てたくなってしまうのです。
たいていエッフェル塔が片足建っただけで終わりになったりしがちで……

日本語版が出たら、たぶん買ってしまうに違いないです。

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