2月のメビウス便

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(写真と文:石川 久)

 今年2月のニュルンベルク・トイフェアで発表された新作ゲームが、早くもメビウス便のラインナップである。いずれもプレイ時間が短く、ルールも簡単で手軽に遊べるゲームが揃っている。
 仕事で札幌に滞在中に東北地方太平洋沖地震が起こり、飛行機が欠航になって帰京が遅れた。3月15日には荷物を受け取れたので、3月17日にゲームスペース柏木に有志を集ってプレイ。途中何度か余震で揺れた。
 ボードゲームに興じられるのも平和な日常があってこそ。被災された方々にお見舞いを申し上げるとともに、1日も早い復興を願うばかりである。

ペルガモン(エガート)10歳以上/2〜4人/45分(7点)

 昨年11月のメビウス便の「ランキング」と同じ、シュテファン・ドラとラルフ・ツァ・リンデのコンビによるデザイン。
 1878年、ベルリン博物館はペルガモンの発掘に着手した。ペルガモンとは、トルコのミュシア地方にある、紀元前200年頃の古代ローマの都市遺跡のことで、プレイヤーは考古学者として、より多くの発掘物を確保することがゲームの目的だ。


真っ二つに割れた古代ローマのマスクが印象的


ボードは判りやすく整理されている

 このゲームは全部で12ラウンドを行う。ラウンドの最初に発掘物タイル5枚を表向けて年代順にボードに並べる。このタイルによって、ゲームの展開が大きく変わる。
 2枚の資金カードが選ばれ、大凡の資金がカード裏から想像できるようになっている。スタートプレイヤーから順番に、自分のコマを空いている任意の資金スペースに置いて、コインが何枚欲しいか、どの階層まで発掘したいかを主張する。その後で資金カードが公開され、資金スペースの一番右側にコマを置いたプレイヤーからコインを受け取る。要求するコインが少ない方から分配されるため、あまり左側に置いてしまうと、全くコインを貰えないこともあるから要注意。
 再び資金スペースの一番右側にコマを置いたプレイヤーから、今度はコストを支払って、同じ階層にある全ての発掘物タイルを獲得する。より深い階層のタイルほど価値が高いことが多いが、それだけにコストもかかる。
 発掘物タイルが繋がれば博物館に展示できる。年代が古いほど価値も高まり、得点計算時に貰える勝利ポイントも高くなる。さらにコインを追加で支払えば、発掘物を磨いてその価値を上げることもできる。ターン終了時に展示しなかった発掘物タイルは3枚まで無料で保管できるが、それ以上の発掘物タイルは3枚ごとに1コインのコストがかかる。
 5,7,9,12ラウンドの終了時には得点計算が行われ、博物館に展示した発掘物タイルによって、1ポイントから最大6ポイントまでの勝利ポイントを受け取る。資金スペースの一番左側のコマを置いたプレイヤーが、次のスタートプレイヤーとなる。その後のプレイ順については、ヴァリエーション1のルールを採用した。より戦略的になるというよりも不公平感がなくなるように感じた。
 12ラウンドが終ったらゲームも終了する。博物館に展示された最も古い発掘物タイルを展示しているプレイヤーには、ボーナスとして3ポイント、2番目には2ポイント、3番目には1ポイントが与えられる。こうして、獲得した勝利ポイントの合計が最も多いプレイヤーの勝利。


破片のタイルを集めては繋げる


ラウンド毎に5枚のタイルの山にしておく

 コインを溜め込むプレイヤーが何人かいると、すぐに足らなくなりそうな枚数しか用意されていないのがちょっと気になった。それでも、貯蓄型が必ずしも有利というわけではないし、戦略性もしっかり感じられた。それでいて、プレイ感はライトなのでそこも評価できる。実プレイ時間は1時間ちょっとだった。

◎スコア ※敬称略
草場純 19,やすやす 17,石川 20,きとう 24

◎メビウスおやじ「ペルガモン」の紹介
http://mobiusoyaji.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-3167.html

◎Pergamon for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/90040/pergamon

ドラコ(シュミット)8歳以上/2〜5人/30分(2点)

 故アレックス・ランドルフを師事したイタリア人ゲーム作家のレオ・コロヴィニによるデザイン。
 プレイヤーたちはドラゴンライダーとなって、山頂の火口を目指してレースを繰り広げる。
 ボードはプレイヤー人数によって使用面が異なる。スタート地点に10頭のドラゴンのコマを置き、各プレイヤーごとに異なる色のカードを配って、自分が最初に乗っているドラゴンを決める。手札を6枚ずつ配ったら、いよいよレースがスタートだ。


スタートマスに10頭のドラゴンが集結!


アートワークも雰囲気満点

 手番には、手札から1枚のカードをプレイして、同じ色のドラゴンのコマをカードに書かれた数だけ山頂に向かって進める。このゲームにおいて、ドラゴンは特定のプレイヤーのものではなく、どのドラゴンでも移動させることが可能なのだ。
 プレイしたカードの色が、他のプレイヤーの前に出されたカードと同色ならば、カードは自分の前のカード山の下に入れる。他のプレイヤーの前にない色のカードをプレイしたら、自分のカード山の一番上に置いて、そのドラゴンに乗り継いだことになる。1頭のドラゴンには1人のプレイヤーしか乗れない。


10色のドラゴンのカードも凝っている
カード構成:各色 1,2,4,5×2枚,3×3枚


ボックスアートも渋っ!

 ドラゴンが青色か緑色のマスで移動を終えたらポイント計算が発生する。青色マスの場合、3以下のマスにいる全てのドラゴンに乗るプレイヤーは、マスに書かれた数字のポイントを獲得する。緑色マスに止まった場合、全てのドラゴンがそれぞれのマスに応じてポイントを得る。新たなドラゴンが山頂の溶岩に囲まれた4つのマスのいずれかに到着した場合にもポイント計算が発生し、全てのドラゴンがポイントを得る。
 ポイント計算を発生させるとカードの補充ができない。そうでなければ、手番終了時に手札を6枚になるまで補充する。手札の最後のカードをプレイした場合は、例外としてポイント計算の有無に拘らず補充できるルールになっている。
 3頭のドラゴンが山頂に移動してポイント計算を行ったら、そのラウンドを最後までプレイしてゲームは終了する。最もポイントを獲得したプレイヤーの勝利だ。
 ハンドマネジメントの要素の強い内容。ポイントマーカーは全てナチュラルウッドなので、どのプレイヤーの物かが識別しづらいし、ドラゴンのコマも水色、青、紫と色が似通っていて、間違いやすいところが難点だ。
 自分だけ有利なタイミングでポイント計算を発生できれば理想的だが、そう簡単ではない。しかし、あまりにもコントロールできなすぎても、ゲームの面白さが理解できなくなる。コロヴィニがデザインしたゲームには、そのスパイラルに陥りやすいという欠点がある。


コントロールのできなさ加減が魅力?

◎スコア ※敬称略
石川 93,きとう 113,Fool 91,やすやす 90

◎Draco for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/89918/draco

トップ アンド ダウン(シュミット)8歳以上/2〜4人/20分(5点)

 これまで「エルグランデ」など、ヴォルフガング・クラマーとの共作が多かったリチャード・ウルリッヒがニルスの協力を得て発表したシュミットのイージープレイ・シリーズ。


早くゴールしても勝てない?


たくさんのコマがスタックした時がチャンス!

 6面特殊ダイス1個を振って、その目の数だけ自分のコマをコースに沿って進めるスゴロク・タイプのゲーム。プレイヤー人数によって使用するコマ数が変わるものの、自分のコマが複数あるので、どのコマを動かすかが悩ましい。「フォーカス」や「ジャスト4ファン」に似たプラスティック製のコマは、重ねてスタックできるようになっており、ひとつのマスに対しても複数のコマが置ける。
 自分のコマの上に重ねられても、ブロックされるわけではないので、手番には任意の自分のコマを選択して移動できる。ただし、上にあるコマは一緒に移動しなければならない。
 コースは橋と通路に分かれ、合間にハードルが配置されている。その色のコマが初めてハードルを超えたら得点計算が起こる。全てのスタックをチェックして、橋の上にあれば、一番上のコマがそのスタックのコマ数だけポイントを獲得する。逆に通路にあるコマは、一番下のコマがポイントを獲得するルールになっている。コマが1個だけのもの、1色だけで構成するスタックは、得点できないルールだ。
 さらにこのゲームのポイントは、ダイスを振る前にポイントを1点支払うことで、自分のコマをスタックの一番上か下に移動できることだ。
 ゴールラインを3つのコマが越えた時点でゲーム終了だ。3位まではボーナス・ポイントが与えられ、合計ポイントが最も多いプレイヤーが勝利する。タイブレイクしたら、ゴールした順番の早い方が勝利となる。


EASY PLAY もすっかり定番化

 得点計算を引き起こした際に他のプレイヤーにも得点が入る点では、「ドラコ」によく似ている。長考ななりやすいゲームでもあるので「ちっとも、イージーじゃない!」との感想も出た。

◎スコア ※敬称略
石川 18,きとう 26,草場純 14,やすやす 44

◎Top & Dow for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/89915/top-down

ゴールド!(アバクス)8歳以上/2〜3人/20分(7点)

 グリム童話「金のロバ」をモチーフにしたカードゲームで、3人用ゲームを得意とするミヒャエル・シャフトのデザイン。「ズーロレット」で2007年のドイツ年間ゲーム大賞(SDJ)を受賞したデザイナーでもある。


「日本の皆さん、シャハトじゃく、シャフトですよ〜」


カード構成
各色 −2×3枚,3×2枚,4,5,6,7,8×1枚

 各プレイヤーには異なる色のカードが1枚ずつ配られ、それを自分の場札として表向きにする。残りのカードをシャッフルして、2枚をゲームから除外したら、共通の場札として5枚を表向ける。これで準備完了。
 手番には、共通の場札から最も数字の低いカードを受け取るか、自分の場札にある1枚を共通の場札にある1枚と交換するかの、どちらかを行う。「コロレット」のように手番にできることは2択と、シンプルだ。
 ロバカードを出せば、どの金貨カードとも交換できるが、金貨カードを出した場合には、それよりも価値の低い金貨カードと交換する。この条件で交換できないければ、場札から最も数字の低いカードを受け取るしかない。
 このようにして、自分の場札に同じ色のカードが3枚揃ったら、そのセットを得点にしなければならない。その際にボーナスとして、自分の場札にない色のカードが他のプレイヤーの場札にあれば、それを1枚貰って自分の場札に加える。得点化したカードは場札から除外していくので奪われることはない。
 全体の場札がなくなれば、山札から5枚のカードをめくって補充する。これを繰り返して、山札がなくなり、共通の場札が全て取られたらゲーム終了。
 得点にできたカードの価値を合計して、最も多いプレイヤーの勝利。タイブレイク時は、カードの獲得枚数の多いプレイヤーが優位となり、それも同じ場合には引き分けだ。
 ロバカードはマイナス2点だが、これを使うことで価値の高いカードと交換できる。カードが公開されているだけに、パズルチックでアブストラクト風味もあったりする。


ボックスサイズはアミーゴの小箱と一緒

 ルールを読んだだけでは想像できなかった面白さが、実際にプレイしてみると楽しめる。ちょっと変わったプレイ感も新鮮だ。
 グリム童話では、「ブリックル・ブリット」と唱えると、ロバは金貨を吐き出した。そんな夢のようなロバが私も欲しいものである。

◎スコア ※敬称略
やすやす 36,石川 48,きとう 79

◎メビウスおやじ「ゴールド」の紹介
http://mobiusoyaji.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-49b3.html

◎Gold! for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/90474/gold

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